ブラジルW杯出場全32チームの基本情報をまとめたインフォグラフィックムービー

いよいよはじまったブラジルワールドカップ

サッカー専門チャンネルの『KickTV』が各出場チームの基本情報をまとめたインフォグラフィック動画をアップしていたので、開会式の中継を眺めつつまとめてみます。

World Cup Crash Course - YouTube

それぞれ2〜3分程度の長さでテキストはほぼ英語になりますが、出場回数・成績・監督・主力選手はもちろん“チームのスタイル”や“アンチはどんな悪口を言っているか”などの情報が網羅されており、雰囲気を掴むのにはちょうどいい内容。ほかにも“アレックス・ソングは28人兄弟”とか“メキシコのユニフォームはWWEのレイ・ミステリオのマスクを真似てデザインされた”とか“デ・ロッシは右足に『タックル注意!』というマークの刺青をしている”みたいな、どこで披露すればいいのかよくわからないトリビアも紹介されていてなかなか楽しめます。

ちなみに日本はこんな感じ。サブタイトルは“期待と楽観”。

ザッケローニの「日本人は生まれついての夢想家なんだ」というコメント(多分このインタビューの引用)の紹介から、メインプレーヤーとして本田、そのほかの主力選手として香川・岡崎・遠藤・長谷部が、また“ブレイク候補”として柿谷の名前が挙がっています。

スタイルは“CRACKED OUT TIKI-TAKA(不完全なスペイン流パスサッカー)”。あまり好意的な感じではありませんがまあ妥当な表現でしょう。ちなみに同じグループCのギリシャは“ディフェンスとセットプレー。はい、それだけのチームです”ですし、コートジボアールも“怖いのは驚異的な身体能力だけ”てな具合なのであまり大差ない感じです。なお、アンチからは“日本は大舞台で実力を発揮できない(去年のコンフェデみたいに)”と言われている模様。

そのほかには“国歌は世界一古くて短い”“ブラジルには最大の日系人コミュニティがある”“今回の公式マスコットはピカチュウ”そして“深夜にダンスするのは違法(風営法!)”という情報が紹介されています。

以下グループ毎にまとめるので暇な時にどうぞ。

■グループA

ブラジル

クロアチア

メキシコ

カメルーン

■グループB

スペイン

オランダ

チリ

オーストラリア

■グループC

コロンビア

ギリシャ

コートジボアール

■グループD

ウルグアイ

コスタリカ

イングランド

イタリア

■グループE

スイス

エクアドル

フランス

ホンジュラス

■グループF

アルゼンチン

ボスニア・ヘルツェゴビナ

イラン

ナイジェリア

■グループG

ドイツ

ポルトガル

ガーナ

アメリ

■グループH

ベルギー

アルジェリア

ロシア

韓国

サガン鳥栖戦における埼スタゴール裏ゲートでの人種差別的弾幕について。

既に多所で問題になってますが、現地でこれに抗議した人間のひとりとして自分が見たもの・聞いたことをまとめてみます。

リアルタイムのつぶやきはここでまとめられています。
埼玉スタジアム浦和ゴール裏ゲートに張られた「JAPANESE ONLY」の弾幕について - Togetter

なお、座席の話も出てきますので、詳しくない方は埼玉スタジアムの座席表を見ながら読むとわかりやすいと思います。
『埼玉スタジアム2○○2シートマップ』

当日の状況

昨日は夕方の16:00キックオフにもかかわらず“寝坊する”という大失態を犯し、最寄り駅である浦和美園駅に着いた時点で既に試合開始から数分が経過している、という状況でした。そのままシャトルバスに乗りスタジアムへ。スタジアムの北門に着いたのはだいたい開始から20分くらいだったと思います。

そのままスタジアムに入り、B3ゲートからコンコース(スタンド裏の通路)をメインスタンド方面へ移動していた時に出くわしたのが上の写真の光景です。なので前半20分過ぎの時点で209ゲートにこの弾幕があったことは確実です。

これを見た瞬間、「『JAPANESE ONLY=日本人以外お断り』という文言が国旗とともに掲げられている光景は人種差別として言い逃れしようがない」と思いました。さらに先週のガンバ大阪戦で浦和サポーターから李忠成に対するブーイングがあり「人種差別か?」と疑いの目をかけられていること、今シーズンからリーグの規定が変更になりスタジアムでの差別行為に対して罰則が明確化されたことも頭の中にありました。

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そのため「さすがにこれを放置することはできない」と思い、外させるようクラブに抗議することにしました。しかし試合中に抗議をするのははじめてだっため、結局前半終了まで「クラブのスタッフと話をするにはどうしたらいいのか」を周りのスタッフや警備員に聞いてまわる羽目に。

ハーフタイム中にようやくゲートの責任者と話をすることができ、その場で「この弾幕は明確な人種差別であり、クラブとして放置するべきではない。すぐに取り下げるべきだ。」と伝えました。また、開幕戦でのブーイングの問題やリーグからの罰則の可能性についても併せて伝えています。途中で一緒に抗議してくれた浦和サポの方々もいました。

この時点で責任者も弾幕の存在を認識しており、さらに通りがかった数人が写真を撮っていたことなどを把握していました。結局「サポーターの代表者と話をする」ということでその方に対応をお任せし、自分は様子を見ることにしました。ちなみにこの段階で「今日は試合を観るよりもこの件をしっかり解決させる方が大事だ」と頭を切り替えています。

後半10分過ぎくらいにサポーターの代表者が209ゲートから出てきて、先の責任者と5分ほど話をしたあと、そのままスタジアムの1Fに降りていきました。そこで責任者から「事務所でクラブ側と話し合うことになった」と聞き、少し安心して隣の208ゲートで試合を観ることにしました。客席に入ったのはちょうど李が交代で入るタイミングだったんですが、ゴール裏の中心付近で浦和サポがブーイングしているのに気づき本気でうんざりしたのを覚えています。

その後しばらく試合を観ていたのですが、後半30分の時点で気になって様子を見に行った時も弾幕は掲げられたままでした。その場で「この件の対応はまだ終わらないのですか?」とスタッフに聞いたところ「この件についてはクラブとサポの代表で話し合い“今後改善に向けて努力する”ということになった」との説明を受けました。その意図を掴みかねて「この試合中は弾幕をそのままにしておく、ということですか?」と聞くと「そういうことになります。試合が始まってしまっているので、弾幕を取り下げることはできない」と答えました。さらに「ここにいる人たちは“純粋にクラブを応援している人たち”だ。ただその熱意が時々間違った方向に向かってしまうだけ」という説明もしていました。それを聞いて「クラブがそう判断した以上何を言っても無駄だ」と思い、とはいえ試合を観る気にもなれずに、結局試合終了までゲート付近のコンコースで呆然としていました(一緒に抗議してくれた方のひとりが声をかけてくれたのには少し救われました)。

そのまま帰るのは嫌だったので、試合終了後に再度209ゲートに行き、その場にいたスタッフに「このような人種差別を許容するべきではない。アジアを代表するクラブになることを目標としている浦和に相応しくない。二度とこのような弾幕が掲げられることがないよう、クラブにしっかりと伝えて欲しい」と言いました。その際に弾幕をアップで撮影しようとしたところ「対応中の案件であり浦和というクラブにとってマイナスになるから写真をネットにあげたりするのはやめてほしい」とも言われました。ちなみに弾幕は試合終了後に僕がスタッフと話をしている間もそのままでした。


サッカーを観にいって、チャントも、歓声も、悲鳴も、ため息も、ピッチに向けた声をただの一言も発しなかったのは昨日がはじめてでした。「We Are Reds」というコールをあんなにも虚しいものだと思ったのもはじめてです。

自分は中学生時代から数えて20年近く、スタジアムに通うようになってからは10年以上浦和レッズというクラブを応援してきました。そのなかで決して“楽しい”とは言えないつらい経験をしたこともあります。目の前でタイトルを逃す試合は何度も観ましたし、2005年の柏戦で田中達也が重症を負った時は本当に息が止まりそうになりました。

けれども昨日味わった無力感に比べれば、それらの経験はマシだと言えます。昨日の浦和サポーターの行為と試合終了までそれを許した運営側の対応は、浦和レッズというクラブはもちろん、Jリーグ、そして日本サッカーにかかわってきた全ての人たちが少しずつ積み重ねてきた文化を土足で踏みにじるものにほかなりません。

浦和サポーターとして、また一人のサッカー好きとして、このような行為を容認することはできません。ですが上記の経緯、そして過去のトラブルの顛末から考えても自分は「浦和レッズというクラブに自浄作用を期待するのは難しい」と思っています。

サポーターとしては本当に、本当に残念であり情けない話ですが、クラブのため、そして日本サッカーのためにも、リーグ事務局が正確に事態を把握し厳正な処分を下すことを期待しています。

いま言えるのはこのくらいです。

我が家の馬鹿な愛犬の話

さようなら。ありがとう。 - しなもん日記

実家の犬が馬鹿だった。物凄く馬鹿だった。

リビングに置いてあった大量のドーナツを夜中に盗み食いし、翌朝「もしかして泥棒!?」と狼狽する家族を尻目に何食わぬ顔で起きてきたまではいいものの、ヒゲに付着した大量の生クリームのせいで犯人がばれて飯抜き。

俺の持っているものは何でも食べ物だと認識するらしく、俺が投げる雪をことごとくたいらげ、夜中に下痢&お漏らしで大騒ぎ。

ウェルッシュ・コーギーだったから超短足で、記録的な大雪(と言っても雪国ではないからせいぜい1メートルくらい)が降った時には、散歩中に完全に埋もれて行方不明になり、散々心配させた挙句10時間後に除雪車に乗って帰ってきた。

自分を犬だと思っていないのか、他の犬が来ても挨拶をしようともしなかった。散歩中に大きなドーベルマンをずっとシカトしてたら向こうが怒って、首根っこをかじられたまま思いきり振り回されたこともある。さすがにその時は慌てて引き離した。

犬とは仲良くできないくせに、なぜかベランダによく来るカラスとは仲良くなっていた。日向ぼっこをしながら、「カー」「うわぅ」みたいな会話をしていたのを覚えている。

地震と祖父を何よりも恐れていて、夕食時に祖父がリビングに上がって来るのが分かると(祖父は足が悪いので足音で分かる)、真っ先に自分の寝床に戻って寝たふりをした。祖父も祖父で、毎回寝床まで行って「よし、ちゃんと寝てるな!」と言ってから夕食をとるのが日課だった。夕食が終わって、祖父が自室に戻ったのがわかると恐る恐るリビングに出てくる。

地震が起こるとパニックを起こし、母親のベッドの中に逃げ込んでは、布団を毛だらけにして怒られていた。夢を見ることも多いらしく、よく寝言を言っていた。ひどい時は寝ながら足をバタバタさせてキャンキャン鳴いていた。いったい何に追われていたんだろう?

俺が一人暮らしをはじめてからも、実家に帰ると必ず2階の階段から顔を出して「お帰りなさい」の挨拶をした。

俺が「遊ぼうか?」と聞くとボールを咥えてきた。

俺が「散歩行く?」と聞くとロープを咥えてきた。

そう、全然「馬鹿」じゃない。俺の親馬鹿なのかもしれないが、むしろ賢い部類に入ると思う。

8年前のある日、実家から電話があった。

よほどのことがない限り実家から連絡は来ないので、何事かと思って慌てて電話に出てみると、母親が掠れた声で「愛犬の死」を伝えてきた。

原因は「地震にびっくりして階段から落ちたこと」だそうだ。その時に頭を打ったらしい。直後は何もなくピンピンしていたのだが、頭の中で少しずつ出血していたらしく、翌朝母親が起きた頃にはもう虫の息だったそうだ。幸か不幸か、弟二人もたまたま実家にいて、俺以外の家族全員に見守られながら静かに逝ったらしい。

この報せを聞いた瞬間、悲しみよりも前に「ああ、うちの愛犬らしい間抜けな最期だな」と思った。

うちの愛犬は馬鹿だった。物凄く馬鹿だった。「地震に驚いて階段から落ちて死ぬ」なんて、今時お笑いのオチにもなりゃしない、物凄く馬鹿で間抜けな死に方をした。でも、俺が13歳の時にやって来て、当時発売されたばかりのゲームのキャラクターから“マッシュ”と名付けられたあいつは、出会ってからその最期を迎えるまで、一度だって俺を悲しませることはなかった。本当に最期の瞬間まで。

俺にとっての愛犬は、本当に相棒と呼べるのは、この世でマッシュだけだ。親に怒られた時も、学校で嫌なことがあった時も、受験前の不安な時も、一緒に散歩に行って、あいつが好き勝手走り回る姿を眺めているだけで全てを忘れられた。何の根拠もなく「まあなんとかなるよな」と思えた。俺が今も楽天的な性格でいられるのは、ほかの家族や友人ではなく、マッシュがいてくれたからだと思う。だから、実家に帰る度に「階段の上の空白」を確認しなければならないのがとても寂しかった。

そんな時に出会ったのが「しなもん日記」だった。しなもんは、マッシュの空けた空白を少しだけ埋めてくれた。嫌なことがあったり、落ち込んだりした時に、「しなもん日記」を読んで気持ちをリセットするのが好きだった。マッシュと同じコーギーで、ボール遊びが大好きで、食い意地が張っていて、ちょっと間が抜けていて。まるで今もマッシュが生きていて、実家からその様子が送られてきているような、そんな感覚でずっと眺めていた。障害報告をする姿ですら愛おしく思えたほどだ。

今日、しなもんが逝った事を知った時、8年前のあの電話のことを思い出して、まるで2度目の「愛犬の死」を体験したような気分になった。最近の様子から近いうちにこの瞬間が訪れるだろうという予感はあったけれど、やはり衝撃は大きい。飼い主でもない自分がこんな風に言うのはおかしな話なのかも知れないが、これでまた「階段の上の空白」が空いてしまった。この空白を埋め合わせる方法を、また考えなければならない。

ネットで眺めていただけの俺ですらこうなのだから、一緒に暮らしていたid:reikonさんやid:jkondoさん、とても可愛がっていたid:kiyoheroさんなどの喪失感は計り知れないと思う。しばらくは「うちの犬はマッシュだけ」と言っていた父親と母親も、空白に耐えられなかったのだろう、数年前に友人からコーギーシーズーのミックスを貰って、今ではまるで自分の孫のように溺愛している。けれども、そうした喪失感の大きさは、彼らが深く愛され、幸せに暮らしてきたことの証拠なんだと思う。本当は、永遠とはいかないまでも、俺たちと同じだけ生きることができれば、喪失感を味わう時間も短くて済むのだけれど。残念ながら世界はそこまで犬と人間に都合よくつくられてはいないらしい。

散歩に行ったことも、一緒に遊んだことも、頭をなでたことも、会ったこともないけれど、確かに愛情を受け取ったひとりとして、しなもんが天国で安らかに暮らしていることを願う。そして、できるなら、俺の相棒と一緒にボール遊びをしてくれれば嬉しい。もっとも、マッシュは人(犬?)見知りだから、知らんぷりして逆にしなもんを困らせてしまうかもしれないけれど。


渋谷の“DJポリス”が、フーリガン対策として見ても極めて真っ当な件。


渋谷駅前で誘導するお巡りさんの巧みなマイクパフォーマンスが話題に : ドメサカブログ
「お巡りさんもW杯出場がうれしいんです!」 渋谷の交通整理、“DJポリス”がサポーターを巧みに誘導 - はてなニュース

一昨日から話題になってたこの件。「曲をかけずにマイクパフォーマンスだけをしてるんだから“DJ”じゃなくて“MC”じゃね?」とかいうツッコミは脇に置いておくとして、ここでは視点を「サッカー」に絞って、この対応について説明してみようと思う。

一般的に、W杯やチャンピオンズリーグなど、大きな大会における警備体制として“サポーターを取り囲む完全武装の警官隊”という光景をイメージする人は多いと思う。例えば、昨年ポーランドで行われたEURO2012では、警察の装備の充実ぶりが一部で話題となっていた。

http://matome.naver.jp/odai/2133960275919354701

しかし、このような警備体制も虚しく、ポーランド対ロシア戦が開催されたワルシャワでは、サポーターの衝突をきっかけとした大規模な暴動が発生し、100人以上が逮捕される事態となった。当時、会場周辺では6000人もの警官が警備にあたっていたが、暴動を止めることはできなかったという。

いっぽう、これと真逆の対応をして成功した大会もある。ポルトガルで開催されたEURO2004だ。大きなトラブルが発生することもなく、運営の面でも高い評価を受けたこの大会では、警察の警備に関して下記のような取り組みが行われていた。

リバプール大学のストット(Clifford Stott)らは欧州選手権「ユーロ2004」の決勝トーナメントで行った大規模実験に関する論文を昨年,Psychology, Public Policy, and Law誌に発表した。同トーナメントではポルトガルの治安当局が研究チームの提案に従い,目立たない非戦闘的な戦術を採用。ファン間際の警官に鎮圧用の装備を付けさせなかった。ストットは「私たちの仮説に基づく警備方式をヨーロッパの一国全土で実施したのは初めてだった」という。

危険度の高い試合でファン100人に対し平均7人の警官を配備した。これに対しオランダとベルギーで行われた「ユーロ2000」ではファン2人に警官1人だったから,大幅に少ない。ユーロ2000では英国のサポーターから1000人近い逮捕者が出たが,ユーロ2004では観客15万人のうち逮捕された英国人ファンは1人だった(研究チームはフーリガン行為と特に結びつきが強いとされる英国人ファンに注目して調べた)。*1

群集の狂気を鎮める方法〜日経サイエンス2009年6月号より | 日経サイエンス

また、ここで“英国のサポーターから1000人近い逮捕者が出た”と指摘されているEURO2000でも、開催国であるオランダ・ベルギー両国の警備体制を調べると面白い事実が見えてくる。オランダでは、鎮圧用の部隊を増強するのではなく、通常の制服姿の警官隊を街中に配置。さらに、英国のファン対策として英語での案内ができるよう訓練するなど、ポルトガルで実践されたような“非戦闘的な戦術”を採用した。いっぽうのベルギーでは、特別装備の鎮圧部隊を多数編成し、騒ぎの予兆があった箇所へ逐次投入、徹底して鎮圧する戦術でフーリガン対策に望んだ。その結果、オランダでは大きなトラブルもなく順調に大会が運営されたものの、ベルギーではブリュッセルシャルルロワなどでイングランドサポーターによる大規模な暴動が発生、多くの逮捕者を出すことになった。

もちろん、このような暴力行為や暴動は、対戦カードや試合結果などさまざまな要因が複雑にからみ合って発生するため、単純に警備体制だけを見てその有効性を判断することはできないだろう。しかしながら、フーリガン研究の分野においては、古くから「過剰な警備体制フーリガンによる暴力行為を抑止するどころか、むしろそれを誘発する要因となる」という指摘が数多くなされている。

例えば、サポーター研究の第一人者であるレスター大学のエリック・ダニング教授は、フーリガン問題の深刻化の原因として、失業などの社会的背景やメディアの扇動的な報道などと併せて“警察による強行的な取り締まり”を挙げている。

ダニング教授は、警察の強権的な取り締まりを「フーリガンの団結をより強固なものとし、ゴール裏という彼らの領域に特別な意味を持たせるもの」として批判している。さらに「スタジアム内での過剰な取り締まりが、暴力行為を“スタジアムの外”に向かわせただけでなく、その戦術や組織の精巧化のきっかけともなり、結果としてフーリガン問題の拡散と複雑化に大きく貢献した」という指摘も行なっている。

フーリガン対策には、その集団が形成された歴史的背景を理解することが必要となる。フットボール・カルチャーが、産業革命以降発展した「都市」と、そこに移住してきた「労働者」という、新たなコミュニティや階級と共に発展してきたことは既知の通りだ。ダニング教授と同じレスター大学のノルベルト・エリアス教授は、フットボールサポーターにおける暴力行為について、その背景をこう説明している(山野光正さんのブログより引用)。

『昔から定着している家族集団とかなり最近になってその近くの団地に住み始めた住人との関係の研究は、昔から定着している家族の間に、その近くの団地の住人たちに対する蔑視の態度、かれらに地位を譲り渡したくないという強い傾向、定着している集団とのあらゆる社会的接触からかれらを排除したいという強い傾向があることを明らかにした。』(P78)

『この集団に属する子供や若者をもっとよく見てみると、かれらが難しい問題を抱えているのが分かった。かれらは近所の他のすべての人たちから軽蔑されていることをよく知っていた。もし子供たち自身が毎日、自分たちの親が他のだれからもあまり尊敬されていないことを知っているとしたら、彼らが堅固な自尊心やなんらかのプライドを発展させることはおそらくたやすいことではなかろう。子供たち自身冷たい視線を向けられ、顔を見せるたびに、追い払われたのである。』(P78)

このような日々の疎外や屈辱を受けながら、その一方で自分たちは「社会」に所属していることを知っている。安定した社会集団の存在と接するだけで、彼らはその疎外を感じさせられざるを得ない。「部外者」である彼らはスポーツの観客となることで初めて所属感と興奮を味わい、『自分に注目してくれそうもない、感心を示してくれそうもない社会に恨みをはらすことができるのである』(P81)

『要するに、フットボールの暴力はまた、その説明が他にどんなものであろうと、部外者症候群として、若い部外者たちが集まって、巨大な群集を形成できるときに表れるかれら特有の行動と感情の形態として、理解されるべきである。』(P81)

N・エリアスによるフーリガンの「定着者と部外者」分析

このように、フーリガンはコミュニティから排除された“部外者”の集団という性格を持っていることから、彼らの警察に対する不信感は非常に根強い。ときに、マイノリティが警察を「自分たちの安全を守ってくれる法の番人」ではなく「自分たちを抑圧する権力の代行者」だと考えるように、フーリガンにとっての警察は、公正・公平な存在ではなく、自分たちを不当に抑圧しようとする“外敵”だと認識されている。

そのため、フーリガンは、警察への抵抗を“集団に対する忠誠心を示す行為”だと考え、警棒やヘルメットなど警官から奪った装備品を、自身の勇気を示すトロフィーとして扱う。そのような集団に対して、警察が攻撃的・抑圧的な態度を取る事は、事態の緊迫感を煽るだけでなく、彼らへの挑発として機能してしまうというわけだ。こうした指摘やノウハウの蓄積などもあり、主要国ではこれまでに比べてより柔軟な警備が行われるようになってきたというのが、近年のフーリガン対策の傾向といえるだろう。イングランドプレミアリーグでは、警官の代わりに、観客に近い立場でスタジアムの安全を守るよう専門的な訓練を受けたスチュワード(警備員)を配置し、スタジアム周辺の警官の数をプレミアリーグ設立以前と比較して60%以上も削減したそうだ。

こうして見ると、冒頭で紹介した“DJポリス”の対応が、欧州基準のフーリガン対策と比較しても十分理にかなっていることが分かると思う。強行的な態度で抑圧するのではなく、より近い目線で、集団の内部に目を配りつつ誘導を行う。そうすることで、集団の攻撃性や対抗心を煽ることなく、大きな混乱や暴動に至るのを未然に防ぐことができる。

もちろん、あの夜、渋谷で大騒ぎしていた人達と、欧州のフーリガンとでは、行動原理も危険度も全く違うので、あの対応がそのまま欧州のフーリガン対策として機能するわけではないだろう。また、日本の警察には、体系的なフーリガン対策のマニュアルなどはないはずで、渋谷警察署やあの警官がここでまとめたような方法論を踏襲していたわけではなく、あくまでも現場での経験からあのような対応をとっただけだろうと思う。

ただ、現場での経験・ノウハウから生まれたであろう渋谷の警官の対応と、長い期間と幾多の失敗を経て辿り着いた欧州のフーリガン対策が、期せずして同じ方向を向いていたという事実は非常に興味深い。コミケスタッフを連想する人も多かったようだが、サッカーに限らず、さまざまな場面での“群衆のコントロール法”を比較してみるのもまた面白そうだ。

*1: この結果については、NCISによるフーリガンのデータベース化と、彼らの海外渡航を制限する法律が制定されたことも大きい

ネット対策はいいけど、これって「公職選挙法違反」にならないのかな?

D
※未成年の選挙運動は禁止されています!

http://www.landerblue.co.jp/blog/?p=7002
※魚拓→http://megalodon.jp/2013-0531-2330-45/www.landerblue.co.jp/blog/?p=7002

これ、

シンガポールの観光客の増加は、STBシンガポール観光局)を中心とする国家プロジェクトの成果であって、ゴミ云々は枝葉の話だよね」とか、

「“犯罪の撲滅と日本人の美徳を取り戻す”なんて維新の議員先生に言われても嫌な予感しかしないんですが…」とか、

「“東京の治安がどんどん悪くなっている”って実際には犯罪件数は着実に減ってるよね」(ってブコメでツッコんだら、いつの間にか“東京の治安が体感的にどんどん悪くなっている”に書き換わってたけど、“体感治安”なんてものを根拠に重罰化を求めるなんてのは、統計見ないで政策立てるよりも分かっててやってるだけ質が悪いと思う)とか、

「というか久々に“割れ窓理論"を大真面目に主張する人を見たなぁ」(個人的には“ゲーム脳”ばりに胡散臭いと思う説)とか、

「橋下発言に関する言説は典型的な歴史修正主義者のそれなので、はてな左巻きの人達に火つけられちゃわないかしら」

などなど、まあ色々とツッコミどころや心配なことがあるわけなんだが、それよりももっと根本的なところで懸念点がありまして。

そもそもこのエントリって「公職選挙法違反」にならないのかな?

実は以前、ある地方議員(東京都じゃなくて、もっと地方の人)の選挙活動をお手伝いした時に、色々と自分で調べたり、選管に問い合わせたことがある。

まず前提として、公職選挙法では、以下の2つの行為は禁止されている。

(1)告示前の選挙運動
(2)選挙期間中のインターネットを利用した選挙運動

(2)については、都議会議員選挙はネット選挙解禁の対象に含まれないので禁止のまま。これは上のブログ主も分かってるみたいだけど、問題は(1)の部分。

選挙の前であっても、例えば自身の政治姿勢や実現を目指す政治施策を訴えるとか、日々の成果を報告するといった行為は一般的な「政治活動」であるとされ、特に制限をかけられることはない。けれども、特定の選挙に出馬することを明示し投票を呼びかけるといった行為は「選挙運動」であると見做され、選挙の告示前に行うことは禁止されている。これは、議員本人だけでなく、そのスタッフや支持者・支援者においても変わらない。

以前、選管に「告示前のブログの活用法」について問い合わせた際には、「あくまでも個々の内容やケースによる」という前置きをされたうえで、このような注意を受けた。

  • 議員本人や事務所などが、投票日などを記載したうえで“投票を促すメッセージ”を発信している場合は基本「選挙運動」と見做される
  • 政治姿勢のアピールや活動の報告は問題ないが、特定の選挙に出馬することとセットで記載した場合は「選挙運動」と見做される可能性が高い

上のエントリでは、海老澤さんへの投票を明確には促していない。けれども、「選挙参謀」を名乗り、「都議会議員選挙予定候補」として海老澤さんを紹介し、公式サイトやソーシャルメディアのアカウントにリンクを貼ったうえで、さらに末尾ではこのようにまとめている。

それでは都議会選まであと1ヶ月ないですが、都民は投票は必ずいきましょう
6/23でございます。海老澤さんの行方を生暖かく見守りたい方はぜひフォローしてあげてください。

僕が確認した選管は東京都とは別の地方のものなので、その基準がそのまま適用されるかはわからないが、仮に同じ基準で判断されるとしたら、この表記は「選挙運動」だと見做される可能性が高い。その場合、今回の都議選の告示は6月14日なので、ブログ主は公職選挙法に違反していることになる。

過去のインターネットにおける公職選挙法違反とその対応を見ていると、いきなり厳罰が科せられるといったことはなさそうなので、直ちに海老澤さんが立候補の資格を剥奪されるとか、ブログ主が逮捕されるといったことはないと思うが、ネット選挙解禁を前に当局も違反行為に目を光らせているだろう状況で、このような危うい表現は控えた方がよいのではないかと思う。

もちろん、ブログ主が僕と同じ疑問を持ち、事前に選管に確認しているのであれば「余計なお世話」というものだろうが。

それ以外に、個人的な意見としては、“ネット”を意識するのであればきちんとネット上の議論をリサーチするべきだと言いたい。

割れ窓理論”に対する認識もそうだし、犯罪件数に関しても、統計を無視して“東京の治安がどんどん悪くなっている”なんてことを主張した場合、ネット上でどのような批判がなされるかは過去の議論を見ればすぐに分かることだろう。“日本人の美徳を取り戻す”という目的についても、手段との乖離が激しすぎ、いささか滑稽に見える。そのような根拠のない(薄い)施策を“公約”として掲げても、明確な支持を示すネットユーザーは多くない事は十分予測できる(そもそもゴミのポイ捨ての問題は、ネットユーザーの関心事とは大きくずれている)。

むしろ、これまでずっと活動してきた“少子化問題”に焦点を絞った方が良いのではないかと思う。この問題はネット上の関心も高く、日々様々な議論が行われている。また、海老澤さんの地盤である世田谷区の待機児童数が“関東圏でワースト”という調査結果もあることから、他所と比べてもこの問題に関する注目度は高いと思われる。そうした少子化問題の解決に向けての具体的な取り組みや、横浜市をはじめとする成功事例などを、短期的かつ集中的に紹介していくことができれば、“ゴミのポイ捨ての問題”などよりも遥かに広く、厚い支持を獲得できるのではないだろうか。当然、選挙のために思いついたように出された“政策”や“公約”よりも、自身のライフワークの延長として出された“政策”や“公約”の方が、説得力が上がるし、支持もされやすいだろう。

その辺を無視して、単にSEOの結果だけを見ているのでは、真に“ネット選挙対策”にはならないんじゃないだろうか。オバマのような選挙対策は無理でも、せめて過去の議論と、主要な主張・批判を整理したうえで、政策や公約を決めるくらいのことはして欲しいと思う。

あと、まあ言っても仕方のないことだと思うんだけど、やっぱり維新はないと思うなぁ…。特に公式サイトで両側にいる2人は。


【6/1追記】
とかなんとか言ってる間に元エントリが削除されたみたい。今日の午前中までは東京の治安と犯罪件数に関する追記なんかがアップされていたので、多分「公職選挙法違反」という指摘を受けての対応なんだろうな。

ということは、告示前の選挙運動に関する認識が甘く、選管に確認もしないままあのエントリをアップしたってことなんだろう。んーやっぱり政治的な主張も含めて迂闊過ぎるというか考えが浅すぎると思うんだよなぁ…。

今後、国政選挙でのネット選挙解禁に伴って“ネットに詳しい人”を参謀役に就ける人もたくさん出てくると思うけど、いっぽうで“ネットに詳しいだけの人”を雇って、今回のように失敗してしまうケースが増えることも考えられる。

ネット選挙への対応を迫られる候補者の皆様にあっては、このような事態にならないよう、参謀選びには十分注意することをおすすめする。

エミネムさんがJリーグ初観戦者の役に立ちそうな情報について教えてくれるそうです。

エミネムさんが教えてくれるシリーズとは - ニコニコ大百科

よお。ついにJリーグの新シーズンがはじまったな。お前らのクラブの調子はどうだ?まだ序盤だが油断は禁物だぜ。とにかく不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまうのだけは絶対に避けろよ。なんにせよ、サッカーがある日常ってのはいいもんだな。

ん?

「サッカーを観たいんだがニワカにとって安全な入口がどこにあるのかよくわからない」


おいおい、冗談だろ。たかがサッカー観に行くくらいで何をウダウダ言ってやがるんだ?黒人だらけのクラブでMCバトルやるわけじゃあるまいし、ブリトニー・スピアーズみてぇにピーピー喚く必要なんてねぇだろうが。お前それデトロイトでも同じ事言えんの?

ただまあ、どんな奴でも最初に何かをはじめる時は余計なことを心配しちまうってのもわかるがな。俺も初めてMCバトルにエントリーするまではなんだかんだ理由つけて逃げまわったもんだ。でもよ、たった一度の人生なんだぜ。そんなんでJリーグを観に行かないのは勿体ねぇだろ。

しょうがねぇ。じゃあお前が安心してJリーグを観に行けるように、俺がいつも以上に詳しく教えてやるよ。いいか?ちゃんとメモしとけよ。


まずは基本からだ。HIPHOPの4大要素は「ラップ、DJ、ブレイクダンス、グラフィティ」(SEXとDRUGと暴力と金じゃねぇぞ間違えんなよ)だが、Jリーグを観に行くのに必要なのは「クラブ情報、試合日程、チケット情報、スタジアム情報」だな。詳しくは下のリンクを確認してくれ。

■クラブ情報

■試合日程

■チケット情報

■スタジアム情報

■現在の順位

試合はだいたい毎週土・日にやってる。リーグ戦は基本J1が土曜、J2が日曜って覚えておくといいぜ。たまに水曜開催になったり、連休で祝日開催になったりすることもあるから注意しろよ。

ん?「どこのスタジアムで観ればいいか分からない」って?確かに、ライブと同じでどうせ金払うんだったらいいハコで観たいよな。そんなお前のためにいい感じのスタジアムを教えてやるぜ。

ユアテックスタジアム仙台(仙台)

県立カシマサッカースタジアム(鹿島)

フクダ電子アリーナ(千葉)

NACK5スタジアム大宮(大宮

ベストアメニティスタジアム鳥栖

このスタジアムなら間違いなしだ。カシマだけは糞みてぇに不便な場所にあるが、ほかはでかい駅からもそんなに離れてねぇし苦労せずに行けるはずだ。東京に住んでる奴だったらNACK5が一番行きやすいと思うぜ。

これ以外だと、柏の日立台はピッチとの距離が近くて臨場感満点だ。スケール感を味わいたいなら、なんといっても満員のサポーターで埋まった埼スタだな。あと俺はまだ行ったことねぇが松本山雅の「アルウィン」鳥取の「とりスタ」なんかも評判がいいぜ。関西だったら神戸の「ノエスタ」が一番いいな。

逆にあんまり良くねぇのが日産スタジアムだな。一部では「横酷」なんて呼ばれてる。陸上トラックのせいでピッチまでの距離が遠くて見づらいし、無駄にでかいから空席が目立っていまいち盛り上がらねぇんだよ。横浜には「ニッパツ」もあるし、あそこで観るくらいなら阿部くんのケツの穴でも眺めてる方がマシかもな。おおっと、念のため言っておくが俺はホモじゃねぇからな。確かにエルトン・ジョンとデュエットはしたけどよ。だからってペット・ショップ・ボーイズの歌なんか信じるなよ!

スタジアムでの楽しみはサッカーだけじゃねぇ。スタジアムグルメ」(スタグル)も忘れるなよ。“地域密着”を掲げるJリーグだけあって、その土地ならではのソウルフードでもてなしてくれる。中でもカシマスタジアムの充実っぷりは半端ないぜ!J2だと岡山のファジフーズが有名だな。どんな旨いもんが食えるか知りたければここを見てくれ。ちなみに“聖地・国立”の名物は『ホットヌードルだ。国立で観るときはどこかで腹ごしらえしてからの方がいいな。食い物以外にも、地元の物産展や子ども向けのイベントなんかをよくやってるから、事前にクラブのサイトをチェックしておけよ!


「日本代表の選手はどこで観られるんだ?」

OK、いい質問だ。代表ばかりに人気が偏るのもよくねぇが、ちょっとでも知ってる選手がいたほうがハマりやすいよな。あんまりサッカーに詳しくねぇ奴でも日本代表のニュースくらいは見たことあんだろ?海外組も増えたが、Jリーグでプレーする選手もたくさんいるぜ!

■日本代表(直近約1年間の招集実績)


「日韓W杯の時は一緒に盛り上がったんだが、あの頃の選手なんてみんなもう引退してるんだろう?」

おいおっさん、それマジで言ってんのか?日韓どころか、日本が初出場したフランスW杯のメンバーだってまだ現役で頑張ってる奴がいるんだぜ。服部なんてもう40近いのに去年はJ2でほぼ全試合に出場してる。おっさんも負けてらんねぇな。もちろん、ドイツW杯や南アフリカW杯で活躍したメンバーも健在だ。世界と闘ってきた歴戦の選手達が観られるのもまたJリーグの醍醐味ってわけだな。

■フランスW杯(1998年)

■日韓W杯(2002年)

■ドイツW杯(2006年)

南アフリカW杯(2010年)

ん?「ひとり違う奴が混ざってるんじゃないか」って?こまけぇこたぁいいんだよ!!


「でも本田や香川はJリーグじゃ観れないんでしょ…」

頼むよハニー、そんなこと言ってあんまり俺を困らせないでくれ。またセル爺に「まるでアイドルのコンサートだ」とか言われちまうぜ…。ほんと、あの爺さんはドクター・ドレーよりもうるせぇからな。

いいかい、本田や香川、長友だってキャリアの最初から海外で活躍してたわけじゃないんだぜ?宮市以外は、みんなJリーグでの活躍があったからこそ海外に移籍できたんだ。そういう風に考えるとJリーグの見え方も変わってくるだろ?

■日本代表(海外組)の元所属チーム

お、そうだ。“海外移籍”って意味じゃ若手選手に注目しておくといいぞ。特に去年のロンドン五輪のメンバーの中には、ベルギーに移籍した永井みたいに海外のスカウトから注目されてる奴もいる。もちろんロンドン五輪のメンバー以外にもいい若手はたくさんいるしな。“次の大物”を探すのもJリーグの楽しみ方のひとつだ。俺みたいにビッグになって手の届かないところに行っちまう前に観ておいた方がいいんじゃないか?

ロンドン五輪代表(フル代表招集者は除く)

どうだ?だいぶJリーグを観に行く気になってきたんじゃねぇか?まだまだ全ての魅力を伝えるには足りねぇが、そろそろショーが始まる時間だ。ファンを待たせるわけにはいかねぇからな。

もし「もっとJリーグのことが知りたい」って奴がいたら『やる夫で学ぶJリーグの旅』ってまとめを読むといいぜ。D12のビザールとスウィフトみてぇなコンビが、日本全国を旅しながらJリーグの魅力を伝えてくれる。『ドメサカ板まとめブログ』もオススメだ色々と詳しくない管理人Jリーグのヤバイネタを山ほど拾ってきてくれるぜ。俺も気が向いたらラップでJリーグのチームを紹介してやるからチェックしろよ!

最後に俺からのアドバイスだ。Jリーグを楽しむには、何よりも“余計な先入観を持たないこと”が大事だぜ。サッカー好きの中には、「ヨーロッパに比べてJリーグはレベルが低い」だの「日本のサポーターは歌ってばっかりでサッカーを分かってない」だのとごちゃごちゃうるせぇ奴も多いが、そういう奴はたいがい「Jリーグはつまらない」っていう先入観に縛られて、目の前で起こっていることを楽しめない間抜けばかりだ。「白人にまともなラップはできない」なんて言う奴らと闘ってきた俺が言うんだから間違いないぜ。そんな奴らの言うことを真に受けんなよ。

細かいプレーや戦術が分からないのも恥ずかしいことじゃないぜ。なにせいいかげんなことばかり書いてる“サッカー観戦のプロ”もいるくらいだからな。

じゃ、俺はそろそろ行くぜ。お前らのクラブが降格しないことを祈ってるよ。スタジアムで会えるのを楽しみにしてるぜ。

8 Mile

8 Mile

Jリーグ公式記録集2013―J.LEAGUE YEARBOOK 2013

Jリーグ公式記録集2013―J.LEAGUE YEARBOOK 2013

“かわいいい女の子になりたい”くらいで、安易に“性別を超越した”なんていうもんじゃないよ。

オタクの女の子になりたい願望は性別を超える - 狐の王国

こういう反論が来るのはなんとなく予想してた。

女性も増えてきてはいるが、オタクカルチャー(特に美少女アニメやゲーム)においては男性がヘゲモニーを握っていることに変わりはない。そして、「恋愛(性)の対象」から「同化の対象」という移行はあったとしても、そこで描かれている女の子の姿が「欲望の主体たる男性によって理想化されている」点にも変わりはない。

また、【欲望する側】であり【マジョリティ】(もっと広く「社会」や「文化」としてもいい)が理想とする姿に、【欲望される側】であり【マイノリティ】が倣うのは従来通りの傾向であって、それはオタクカルチャーに限ったことではないし、特別なことでもない。実際、創作において描かれた「男性によって理想化された女性像」を「現実の女性」が自身のものとして受け入れた事例は過去にも多数あるが、それは【欲望された姿】への最適化であって、抑圧のいち形態とも考えられる。それを“理想が性別を超越した証左”として扱うのは無理がある。

まして“「かわいい女の子になりたい」と願うのは、まず女性自身”というのは、自身の抑圧性に対してあまりに無自覚な言説だ。【欲望する側】であるオタク男性が、その対象である女の子に対して「(かわいい女の子になりたいという)欲望を無視できない」なんていうのは単なるマッチポンプであり、本気で「アホか」と思う。もし俺が自分の容姿に悩む女の子だったら大口径の銃器で穴あきチーズのようにしているだろう。


↑穴あきチーズのようにされた事例

同化の対象が、男性が理想とする“かわいい”“女の子”である以上、それはある種の規範として抑圧性を発揮する。オタク男性が従来の男性ジェンダーから脱落しかけているからといって、その抑圧性が消えるわけでもない。男性が付与する“かわいい”という属性の抑圧性に無自覚でいるのならばなおさらだ。“ジェンダー規範から解放された男性オタク”という前提は、対象を気持よく消費するための“理想化された自己イメージ”に過ぎない。

男性ジェンダーからは開放された女性を欲望の対象にしないはずのゲイが、“女性性”を過度に“完璧な美”を求めるがゆえに“理想化された女性像”に囚われてしまい、無自覚なまま女性の抑圧者となってしまうこともあるように、性別(性差)はそんな簡単に超越できるものじゃない。“性の対象”としてであれ、“同化の対象”としてであれ、“観察の対象”としてであれ、そこに“かわいい女の子”という理想化されたイメージを求める限り、ジェンダーから解放されることはないだろう。

女の子が、実際にアニメやマンガで描かれる“かわいい女の子”になりたがることを否定するつもりはまったくない。与えられた“かわいい”を、女の子が自分たちのものとして主体的に変えていくこともあるだろう。けれども、それは与えられた理想を女の子が独自にチューニングした結果であって、オタク男性の理想が性別を超越した証左にはならないし、オタク男性が自身の欲望を肯定する道具としてそれを持ちだすべきでもない。自身が理想とする“かわいい女の子像”から対象が逸脱した瞬間、その主体性を尊重するのではなく存在そのものの否定に走るオタクもたくさんいるのだから。

こういった話を“俺(たち)の欲望語り”としてある種のネタ的に消費しているだけならまだ笑って流せるが、それが自分たちの欲望を肯定するための道具として、あるいは選民思想的な言説とセットで出てくるのであればさすがに笑えない。

“オタクは性別を超越した”というのは単なる幻想であって、実際には性別など超えられてはいないし、ジェンダーからの解放もされていない。性的欲望を脱臭した程度でジェンダー規範から解放されたなんて思うことそのものが間違いだ。最低限の分別として、妄想と現実の区別はつけるべきである。


それはそれとして、早く秋山殿が元気に動きまわる姿が見たいです。
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