本当の問題は「FWがゴールを決められない」ことじゃない。

多分「次期代表監督はFWの決定力を上げてくれる監督を」とか言い出す馬鹿がいそうだからあらかじめ冷や水をぶっ掛けておく。ストライカーは「育てる」ものではなく「生まれる」もの。ゲルト・ミュラーもそう言っている。だから、それは監督ではなく神様に期待しよう。

FWが点を取れないことそのものが問題なのではなく、点の取れないFWに点を取らせようとしているのが問題なのだ。別に誰が点を取ろうが1点は1点。例えば、今季も圧倒的な強さを見せたチェルシーのチーム最多得点者はMFのランパードリバプールの最多得点者もMFのジェラードだ。(参照:プレミアリーグ05-06シーズン得点ランキング)

まあ、FWが点を取れるのに越したことはないんだけど、頭抜けたFWがいなくても十分戦えるチームをつくることはできる。要はチームの戦術の中で個人の特性を活かした役割を与えることができるかに尽きる。過去、絶対的なFWがいないチームが結果を出しているケースなんて山ほどある。98年に優勝したフランスもそうだし、EURO2004で優勝したギリシャ、準優勝のポルトガルもそう。

いいFWがいないならいないなりの戦術を立て実行するのが本物のサッカー。ポルトガルやスペインが一体何年FWの不在に苦しんでいると思ってるんだ?いい加減、日本代表の試合結果ばかりに一喜一憂するばかりじゃなくて、きちんと日本のお手本になるような闘い方をしているチームを見つけてみてはどうだろうか。

それこそプレーを見て「自由主義個人主義の弊害」とか、「選手の愛国心が足りない」とか吹き上がってるよりはよっぽど有効だと思うけど。「戦術的な話(要するに現実)を見て見ぬ振りして安易なイデオロギーや精神論に走るのは日本の国民性の表れ」なんてことは言いすぎかな。