「愚鈍」は悪口でも暴力的表現でも無いと思うよ。少なくとも、言説に使う場合は。

本当に、がっくりくる…。‐ロリコンファル

ワールドニュースアワー−無力とは蹂躙されることである− ロリコンファルブクマコメントに、

2006年07月20日 inumash 右左, 戦争 イスラエルの攻撃と北朝鮮の攻撃、レバノンの状況と日本の状況を等価に語るこの愚鈍さは一体なんだ?釣り?

と書いたら、

2006年07月20日 kagami 文を批判するのは構いません。ですが、愚鈍とか、悪口的暴力的な言葉を使うのはやめて頂けませんか。私は非常に傷つきましたし怒りを覚えています。自分が言われたらどう思うか、考えてみてください。>inumashさん

と返されてしまった。うーん。

まず初めてに理解して欲しいのは、僕は別にid:kagamiさんを「愚鈍だ」と言っているわけではなく、あくまであのエントリから受けた印象を一言で表すのにちょうどいい言葉だったから使ったということ。その辺りを混同しないで欲しい。

件のエントリに関して、前半部は基本的に同意する。政府の危機意識の希薄さやメディアからの注目度の低さは確かに首を傾げたくなる。

でもって、僕は

テレビに映る、無力で為すすべもないまま、イスラエルの攻撃から泣きながら逃げ惑うレバノンの一般市民達(彼らはヒズボラとは何の関係もない)、彼らの姿が日本の国民と重なって見える。日本の国民も北朝鮮から攻撃を受ければ、莫大な被害と果てしない死傷者の中で、ただ逃げ惑い、泣き叫ぶだけでしょう。誰も国民を助けられない。日本には、何の力もないから…!!!!!

ワールドニュースアワー−無力とは蹂躙されることである−

この部分を「愚鈍」だと言ったんだけど、どうだろう。そんなに的外れで暴力的な悪口だろうか。

イスラエル北朝鮮という、政治的、あるいは軍事的に見ても並び立たないはずの両者を「脅威」として、同じく国際社会での地位や立場、軍事力、同盟関係から見ても並び立たないはずのレバノンと日本を「被害者」として見立てることの安易さや現状認識のズレをして、この言説を客観的かつ的確に表すために「愚鈍」という言葉を使ったわけだけど。文脈を無視して、単語の印象値だけで「暴力的」とか「悪口」とかいう解釈をしてるんじゃないですか?id:kagamiさん。

でもって、

でも、それでも、なんで暴力的な言葉を使うのかと思う…。少なくとも、私と交流のある右派現実主義なブロガーさんたちは、理性的に物事を解決しようと目指しているし、丁寧に礼儀正しく対応している。暴力的な言葉を一発投げ入れることで、相手を封じようとしたりはしない。私の経験からすれば、右派の人達は物事を丁寧に扱う、凄く紳士だと感じている。そういった丁寧さ、礼儀作法の尊重こそ、一番正しい方法だと私も思っている。逆に左派の人達が使うような暴力的な言葉は、使ったほうも使われたほうもお互いに怒りと憎しみが湧きあがるだけで、状況が酷くなるだけ…。やっぱり、前も書きましたが、どうしても、どうしてこう、ひどく暴力的なのかと思う…。

本当に、がっくりくる…。

ごめん、これには僕の方ががっかりした。言葉は悪いけど、ちょっとばかり被害者意識が強すぎるんじゃないかい?

もし僕が『暴力的な言葉を一発投げ入れることで、相手を封じよう』という意図があったならば、悪いけどもっと愚劣で相手を馬鹿にした言説を使うよ。件のエントリはそれが出来てしまう程ツメが甘かったから。

繰り返すけど僕は貴方を「愚鈍」だとしたのではない。貴方の言説を「愚鈍」だと表現しただけだ。ここで貴方が取るべき態度は「愚鈍」という言葉の暴力性について語る事ではなく、「愚鈍」と評された言説を再検討し、それが「愚鈍な言説ではない」ということを反論することなのではなのかい?

貴方は、件のエントリの最後、

イギリスのように成熟した国家、すなわち国民一人一人の意識が成熟した国家を目指さねば、今のままの未熟な日本、無力で脆弱な日本では、早晩国が滅びてしまうことを免れぬと思います。我々国民一人一人が、マキャベリ君主論ぐらいは読んでおくぐらいの気構えが必要と思います。

ワールドニュースアワー−無力とは蹂躙されることである−

と締めている。

では貴方に問おう。

自らの言説を暴力的な表現で否定された場合、その「暴力的である」という部分のみを抜き出して、批判部分を一切検討しないというのが、貴方の言う『成熟した意識』なのか?

本当に『成熟した意識』があるならば、その「暴力的」というバイアスを削除し、批判部分を的確に読み取り、必要なら自説に取り入れ、必要でないなら論拠を見つけて反論する。『成熟した社会』とはそうして成立していくものだと僕は思うのだけれど。

それから、自身の志向と似通っている「右派現実主義」から貴方に対して痛烈な批判がないのなんて当たり前じゃないか。何を甘えたことを言っているんだ?本当にその言説の価値が試されるのは、内部ではなく外部の目に晒された時だろう。そこで自分の言説に「愚鈍」という表現をされただけで、論理的な反論もせず、ただその暴力性のみにおいて批判するのであれば貴方に『成熟した社会』を語る資格なんてないと思うよ。やめておきなさい。恥ずかしいから。知っているかい?イギリス人はもっと皮肉がきついよ。

それから、貴方が以前「右派現実主義」の代表的存在として扱った「切込隊長」が、他勢力を批判する時にどのような言説を使っているか一度検討してみたらどうだろうか。色々見えてくると思うけど。

最後にブクマコメントの返答としてまとめると、

①「愚鈍」という表現を言説に使うのは悪口でも暴力的だとも思わない。
id:kagamiさんを傷つけたりすることは僕の本意ではない。
③僕の言説に「愚鈍」という表現がなされた場合、もう一度自身の言説を見直し、反省するなり反論するなり適切な対処をする。

以上。

何かご意見があればコメントorTBをどうぞ。ブクマコメントでもいいですけど。


[追記]

2006年07月21日 Vane kagamiさんのブログは「ロリコンファル」であって「ロリコンファイル」ではない。この記事自体については同意する。痛烈な批判がくることは政治系の常だ。そして、批判は暴言ではない。

うわぁぁぁぁ!!他人のBlog名間違った!!id:kagamiさん、本当にごめんなさい。謹んで謝罪・修正致します。

ちなみに僕が件のエントリを発見したのは、ブクマ経由で『エロゲにおける悲劇的な展開の消滅 −エロゲ悲劇史−』を読んだからです。あのエントリは秀逸だと思いました。ポップミュージックや映画にも使えるかなと。