彼女は天使に恋をした。〜麗しきSD(スーパードルフィー)の世界〜

僕のような下層男性(こんなの)でもちょっとした偶然と最低限のコミュニケーション能力のおかげで彼女の一人くらいはいるのだけれど(いい世の中だ)、どうやらそんな幸福な季節も終わりに近づいているみたいだ。

スーパードルフィー(SD)というものをご存知だろうか。

これ?




残念。ちょっと違う。


これ。


まあ、オタク界の最前線にいるであろう皆さんはとっくの昔にご存知だろうが、僕はつい最近までその存在すら知らなかった。

でもって、僕の危機はこいつが原因。そう、彼女がこいつに夢中なのだ。

最初はネットで情報を集めながら「欲しい」とか言ってただけなんだけど、そのうち具体的な造型や人格設定にまで話は及び、ついには専門店「天使の住処 原宿店」にまで同行するハメになってしまった。

比較的新しい建物の一階にその店はあった。店内は白を基調とした落ち着いた内装で、様々な型のドルフィーがディスプレーされていた。外から覗けるところにも何体かディスプレイされていて、外部を遮断するような雰囲気はほとんど無い。イメージとしては「マダム向けセレクトショップ」ってところだろうか。

ただ、客層はやはり独特で、僕らが入ったときにいた3人(女性)は全てゴスロリ(ゴス7/ロリ3って感じ)な格好をしていた。その後も男性は僕と、母親と一緒に物見遊山的に入ってきた男の子だけ。後は全て女性だった。秋葉原なんかはもう少し男の客が多いのかもしれない。

原宿店の2階部分には「オーダールーム」(そう、ドルフィーは自分好みの顔や体を選ぶことが出来るのだ。しかも、仮組みは無料らしい)が併設されていて、落ち着いた雰囲気で自分好みのドルフィーを造ることがきる。僕らの後に入ってきた、どう考えても中学生か高校入ったばっかりにしか見えないの女の子二人組がオーダーしていてびっくりした(だって、「フルチョイス」って最低8万くらいかかるんだぜ!?)。

結局その時は見学だけで終わったのだけど、当然彼女がそれで満足できるはずもなく、後日、正式にオーダーすることになった。

彼女がオーダーした設定はこう。

ベースはSD13(スーパードルフィー・サーティーン:つまり13歳ってことらしい)の男子。黒髪長髪で腕は長め。顔立ちは「MALICE MIZER時代のGackt(どんなんだかさっぱり)」だそうで、名前は堕天使「なんとかエル」とか言ってた。これでどんなドルフィーが出来上がるのだろう。

ちなみに、僕は「DMCクラウザーさん」をリアルに再現することを勧めたのだけれど、「ソフビで十分」「自分で買えば?」という冷たい反応をされただけだった。既に気持ちは「なんとかエル」の方に向かっているようだ。

「お迎え」できるのは11月の予定で、彼女は既に「なんとかエル」の為に皮パンとマントを購入。「吸血鬼みたいな格好をさせたい」とは彼女の弁だが、「素肌に皮パンとマント」ではどこぞの変態かと思うのは僕だけだろうか。

彼女の友達もオーダーしたらしく、その設定は更に強烈で、アルビノで泣き顔(どんなんだよ!!)という特異なオーダーをしたらしい。リアルな傷が再現されているドルフィー(傷セシル?とか言ってた)もいるそうで、それが猛烈に欲しいのだが、限定生産品なので手に入らないみたい。

他にも「ローゼン〜」の真紅や「下妻物語」の桃子(シリアルNO.1は深キョンが持っているんだと)、「ちょびっツ」のちぃなんかもドール化されている。

まあ、僕には到底入り込めない世界なんだけど、id:matuokaさんが詳しい「ヴィジュアル系文化」やid:kanoseさんによるこの辺の考察との関連性を考えると面白いのかな、と思う。

ちなみに彼女に「何でそんなにSDが欲しいの」と聞いたら、ものすっごい冷めた目で、「現実には得られない美しさを独占したいから」と言われた。

痛い!!心が痛い!!

※ちなみに、「スーパードルフィー」で検索したらこんな記事が出てきた。やっぱり、あの世界へ初めて触れる人のリアクションはあんまし変わらないようだ。