変拍子でかっこいい曲:エモコア&ポストロック編

変拍子でかっこいい曲を教えてください。曲の一部分だけが変拍子とかでもOKです... - Yahoo!知恵袋

ここで上がってるのがプログレ中心のちょっと古めの曲ばっかりだったので、『これでは変拍子の魅力を十分に理解して貰えない!』と思って勝手に補足。変拍子は今も元気ですよ!ということで。


90年代から00年代にかけて、「変拍子」を最も上手く使いこなしてきた音楽ジャンルはフガジ(FUGAZI)以降、ディスコード・レーベル周辺のエモコア(エモーショナル・ハードコア)バンドの連中と、スリント(Slint)及びトータス(Tortoise)以降、スリル・ジョッキー周辺のポスト・ロックバンドの連中だと思います。要するにイアン・マッケイ(フガジ/ディスコード)とジョン・マッケンタイア(トータス/スリル・ジョッキー)の影響下にあるバンド達、ということですね。

つーことで代表的なやつをざっと。この辺は一時アホみたいに聴き狂ってた音楽でもあります。

■エモーショナル・ハードコア

Fugazi - Long Division

Fugazi - Break

USインディ・シーンの最重要人物、イアン・マッケイがマイナー・スレットを解散後に結成したバンド。パンク/ハードコアの直情的なビートを脱臼し、より豊かな感情表現を行うための音楽的素地をつくりました。

また、酒、タバコ、ドラッグ、(性欲求解消のための)セックスの一切を禁止する“ストレート・エッジ”と呼ばれる価値観や徹底したアンチ・メジャー/アンチ・商業主義を掲げた活動でも有名。尚、マッケイ自身はエモと呼ばれることを嫌っています。

音楽はもとより、その一貫した活動は多くのバンド/ミュージシャンから信奉に近い支持を集めています。カート・コバーンが、“FUGAZI”の綴りを間違えたエディ・ヴェダーを馬鹿にしたのは有名な話。


以下その周辺及び影響下にあるバンド達。


Jawbox - Savory

Braid - I'm Afraid of Everything

Faraquet - Carefully Planned

Q And Not U - Soft Pyramids

Minus The Bear - The Pig War


この辺で一番好きだったバンドがこの人達↓

The Dismemberment Plan - Girl O'clock

The Dismemberment Plan - Memory Machine(LIVE)

デソート・レーベルからデビューしたワシントンDC出身のバンド。J・ロビンスがプロデュースした3枚目のアルバム「Emergency & I」と続く4枚目「CHANGE」はインディ・ロック史に残る大傑作。

Dismemberment Plan - The Face of the Earth

涙が出るくらいカッコイイ。決して感情を振り切らず、クールさを保つボーカルも最高。ただ“エキセントリックさ”をアピールするためだけに変拍子プログレ的展開を導入している凡百のバンドとも、ただ叫んでさえいればエモーショナルだと思っている“似非エモバンド”とも、表現の豊かさが全く違います。

2003年に解散。日本でのレーベル・メイトでもあったくるりと仲が良く、彼らは日本での解散ライブにも帯同しています。“素晴らしいギターロック”の個人的な評価基準のひとつがこのバンドだったり。


■ポスト・ロック

Slint - Nosferatu Man

Slint - Breadcrumb Trail

ポスト・ロックの開祖。後にトータス、フォー・カーネーション、パパM、バストロ、キング・コングといった後のUSインディシーンを牽引するバンドを結成する重要人物が一同に介したとんでもないバンド。おまけに1stアルバムのプロデュースはスティーブ・アルビニ、2ndのジャケ写はウィル・オールダムというまさにアンダーグラウンド・オールスターな布陣。レーベルはこれまたUSインディの名門「Touch&Go」。このバンドがいなかったら、ポスト・ロックという音楽はここまで劇的な発展はしなかったと思います。


Tortoise - Cornpone Brunch

ジョン・マッケンタイアバストロ解散後に始めたバンド。初期はUSオルタナティブの強い影響化にあり、ハード&メタリックな轟音ギターを中心としたサウンドでしたが、2ndアルバム「Millions Now Living Will Never Die」で現代音楽的な手法を大胆に導入。続く3rdアルバム「TNT」ではProToolsを活用した独自のレコーディング手法を確立し、ポスト・ロックという音楽を一般化しました。

また、彼らの所属するレーベル「スリル・ジョッキー」周辺のバンドは、この地域出身の前衛ジャズバンド、アート・アンサンブル・シカゴの影響下にあることから「シカゴ音響派」と呼ばれ、ポスト・ロックやエレクトロニカを中心に多くのフォロワーを生み出すこととなります。


以下その周辺及び影響下にあるバンド達。

The Sea and Cake - The Colony Room

Mice Parade - Focus On The Rollercoaster

Mogwai - Stanley Kubrick

Explosions in the Sky - A Song For Our Fathers

※学生がつくった自主制作ビデオ。オフィシャルよりこっちの方が好き。

Godspeed You! Black Emperor - Rockets Fall on Rocket Falls

65daysofstatic - Drove Through Ghosts

Shellac - Steady As She Goes


んでもって、今「変拍子」といえばこの人達でしょう。

Battles - Atlas

Battles - Leyendecker

Battles - Snare Hangar

完璧です。何も言うことは御座いません。一聴すればその素晴らしさが分かるはず。

Battles - Atlas (live)


ということで『変拍子でかっこいい曲:エモコア&ポストロック編』でした。この辺は掘り下げれば掘り下げるほど面白いバンドが出てくるので頑張ってお気に入りを探してみて下さい。