匿名性を守りながらリアルで利益を得る方法

inumash2006-03-10


ウエブで匿名でいるデメリットとは何か〜煩悩是道場

id:ululunさんのこのエントリを読んで、少し考えてみました。

基本的にはid:ululunさんや小飼さんの言うとおりだと思うのですが、もう少しネット/リアルの枠組み、というかネットからリアルへの利益の流れを細かく分けて考えてみたいと思います。

id:ululunさんは利益に関して、

ウェブで名前を晒してメリットがあるのは実社会で名前が知られている有名人や社会的地位のある人だけである。

としていますが、ネットでの利益が直接リアルでの利益に結びつく個人はコンサルタントフリーライターなどに限られ、多くの場合は会社などのコミュニティを挟むことで利益を得ているのではと考えました。つまり、利益の流れとしては、

A:個人(ネット/記名)→個人(リアル/記名)
B:個人(ネット/記名)→コミュニティ・会社(ネットorリアル/記名)→個人(リアル/記名)

という2つの流れに分けることができると思います。

例えばAは芸能人BLOG(プロダクションは単なる中抜き。利益の主体は芸能人)、Bは社長BLOG(社長はあくまで企業の顔。利益の主体は会社そのもの)となります。当然、利益に関しては間にコミュニティを挟む分、増幅されたり削減されたりと多少複雑になるでしょう。で、あるならば、

大切なのは「書き手」が書いている事の信憑性を担保出来るバックグラウンドがあるかどうかであり、例えばそれは出版社に勤務していて取材先もきちんとしているというような事でのみ証明出来るのではないだろうか。

という部分の、「情報の担保」に関しても同じように分けられると思います。

C:個人(リアル/記名)→個人(ネット/記名)
D:個人(リアル/記名)→コミュニティ・会社(ネットorリアル/記名)→個人(ネット/記名)

となります。この場合、利益と同様、「情報の担保責任」もコミュニティを間に介すことによって分散させることはできないのでしょうか。つまり、C、Dとは別の方法として、

E:個人(リアル/記名)→コミュニティ・会社(ネットorリアル/記名)→個人(ネット/匿名)
という情報の担保が成り立つという仮説を立てました。要するに、ネットでの情報をコミュニティに担保させようということですね。ですので、ネットで個人が担保する情報としては、その「コミュニティに所属している」という部分だけで十分です。そのコミュニティの規模や方向性にもよりますが、この方法であればある程度の匿名性を保ったまま、情報に信頼性を与えることができます。(「所属している」という情報をどうやって担保するかは難しいところですね。)

例のきっこの場合も、あれはCだから情報の信頼性が薄いのであって、例えばネットではないですが新聞の匿名記事などは、「新聞社」というコミュニティによって情報を担保しているわけで、Eにあたります。

で、ネットでの情報の担保責任がリアルで利益を得る条件であるならば、上記の条件を満たした場合、

F:個人(ネット/匿名)→コミュニティ・会社(ネットorリアル/記名)→個人(リアル/記名)

という利益の流れが成立すると思います。つまり、匿名の個人がコミュニティを介して利益を得ることが可能なのではないか、ということです。


はい。ここまでは余談です。正直な話、純粋にネットでの利益をリアルで受け取りたいなら記名でやるのが手っ取り早い。そうではなくて僕が言いたいのは、

だから、情報を提供したり、自分の会社の顔として露出したり、有名人のように名を売る事が商売ではない「市井の人」である多くの人たちはウエブ上で実名を晒したところで得られるものは匿名で書いているときと変わらないし、意味がないと私は思う。

この部分はEとBもしくはFを組み合わせることによって、リアルでは無名な僕等でもネットでの利益をリアルに結び付けられるのではないか、ということです。

つまり、記名であれ匿名であれ、自身が所属する会社やコミュニティの情報を積極的に開示することによって、それらの価値を高め、ネットでの利益をコミュニティ経由で得るというルートもあると考えました。

この場合、所属するコミュニティが他者から見て魅力的であることが前提ですので、コミュニティに所属している者として、それらを魅力的にする、魅力的に見せる努力が必要です。

かなり回りくどいやり方ですが、上記の方法でなら、別に有名人でなくとも、ネットでの利益をリアルに結びつけることが可能になるのではないでしょうか。

まあ、個人とコミュニティの知名度のバランスとか、コミュニティ内部での立ち位置なんかで変わってくるとは思いますけど。