『40歳の童貞男』の監督が仕掛ける「Cクラス」の為の青春映画『Superbad』

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全米映画興行収入=「Superbad」が2週連続首位

40歳の童貞男』の監督で、脚本も手掛けたジャド・アパトウが絶好調みたい。

一晩だけの関係のつもりが「できちゃった」カップルを描いた『Knocked up』をヒットさせ、更に製作として関わったこの『Superbad』も2週連続で全米BoxOffice1位を獲得。今一番勢いのあるコメディ映画製作者ってことで注目の的となっているようだ。

どちらも日本で公開されるかどうかも決定してないし、こうしたコメディ映画の類は日本公開されないことが多いから不安なんだけど、とにもかくにもこの『Superbad』だけは絶対に観たい。

僕はまだテレ東の「SHOWBIZ COUNTDOWN」でちらっと紹介されているのを見ただけだけなんだけど、その限りでは、『イケてなくてモテない童貞コンビが、高校を卒業して離れ離れになる前に女の子をゲットするべく悪戦苦闘する』という単純なプロットには収まらない魅力が溢れているような気がする。

SHOWBIZ COUNTDOWN」では、寝袋を並べて『毎日愛してるって言おう』みたいな「もし彼女ができたら…」という妄想を互いに言い合ってるシーン(多分、だけど…)なんかも流されていて、正直それだけでもかなりそそられる。

検索してみら、まだ言及している人はそんなに多くないみたいなんだけど、

ストーリーはティーン系コメディ映画によくあるような冴えない少年達の童貞喪失を1つの目的としたストーリーなのだが、どういうわけだか様子が違うのである。脚本がとにかく素晴らしいのである。単なるおバカ映画と思って観ると、観た事ない様な映画に出会った感覚におそわれる。ほんとうにこの映画に既に見飽きたベン・スティラーが出ていなくて良かったと思った。

この『SUPERBAD』もそうだが、ジャド・アパトウ系映画に関連しているのは、敗者をなんらかのかたちで指示しているという点だろう。敗者を空想の中で活躍させて、それを具象化させたのが彼の映画である。だから観る者も登場人物達を共感し、そして指示し、それが良い結果に繋がっている。

米映画批評‐シネマオンライン


このあたりの評価を見るに、十分期待していい内容のようだ。まあその辺は、「アメリカ学園映画」の専門家である長谷川町蔵さんの評価を待ちたいところではあるけれど。

さて、「絶賛在庫集積中(@republic1963宅)」な「クリルタイ2.0」のメイン特集は「アメリカ学園映画から見るスクールカースト座談会」だったわけで、その文脈からいくと、この『Superbad』は「Cクラスの為のプロム(卒業パーティー)映画」ということになるだろうか(まだ観てもいないんだけどね)。

この座談会の中で取り上げた(お題として選んでもらった)映画の中で、「プロムパーティー」をメインテーマとして扱っていたのは『待ち切れなくて・・・』という作品。



アメリカのスクールカーストが一望できる素晴らしい映画なんだけど、そのサブプロットの一つに「いじめられっ子(Cクラス)の復讐物語」がある。

座談会では、

(i): ウィリアムの復讐話(inumash注:自分をいじめたジョックスに復讐すべくパーティーに潜り込んだのに、何故かパーティーの主役に)は、非モテの成長物語として、凄くよくできているよね。

(M): ここで深いのが、成長して救われるのは、実際に復讐を計画・行動したウィリアムだけってところ。尻馬に乗っただけのナード仲間二人は、プロムの最中に外で愚痴りながらオタトークしてるだけだし、最後はUFOに宇宙に連れ去られていくし、なんにも救いがない。最後のシーンなんて、「どうせプロムに出てもつまらなかったよ」とか言って、思いっ切り酸っぱい葡萄やってるんだよ!

(i): 真性非モテは、この映画でも救われていないわけだよね(笑)。

(r): 非モテの中でも救われる非モテと救われない非モテがいるという、非モテ内部格差が描かれているわけかぁ。

(i): でもその「差」って、行動したかしなかったかの自主性の差として描かれているよね。コミュニティに認められるためには、コミュニティの中に入って行って、冒険しないといけない、という。

(M): でものふたりの前にUFOが現れるのは、ある種の救いだとも思う。カーストの最下層まで行ってしまったら、もう別の世界のカーストに逃げるしかないんだっていう、「ブスは町を出なさい!ブスは町を出るのよ!!」的な。アレを「救い」と取るか「絶望」ととるかは、結構微妙なところだと思いますね。

(i)=inumash、(r)=republic1963、(M)=イケメンロボ


という感じでまとめられてるんだけど、『Superbad』はまさにこの「行動するCクラス」を主役にした作品として観ることができるんじゃないだろうか。

もちろん、「それだけ」を描いた単純な作品でもないようで、二人の間に存在する「Cクラスの友情」を巡る話もあれば、『待ち切れなくて・・・』では登場しなかった「それを通り越した大人」(演じているのは『40歳の童貞男』でハッパ好きの商品管理役だったセス・ローゲン)の話も絡むらしく、その辺りもこの映画が単なる「Cクラスが主役のバカ映画」には収まらないのではないか、という期待を持たせてくれる。

更に、「バス男」のナポレオンばりの名キャラクター(下の写真のメガネ)も登場しているらしく、それも楽しみ。頼むから日本公開してくれ!!「バス男」の二の舞はゴメンだぞ。


以下画像と予告編。

見るからにダメそうな3人


どういうシーンなのか全く分からず。でも間抜け。手を繋いでいるのがポイント。


今最も注目を浴びるキャラクター「Mr.McLOVIN」。俳優は映画初出演らしい。


予告編


ついでに「クリルタイ2.0」はタコシェにて絶賛発売中ですのでこちらも併せて宜しく。