“エレクトロ･ポップ”海外最新動向：アメリカ編 - 想像力はベッドルームと路上から

イギリスと違って、アメリカでは“エレクトロ･ポップ”そのものがヒットしてるということはありません。最後にまとめますが、インディレベルでは同種のアーティストが多数出てきてます。ですが、一般化するまでには至っていない状況です。

ただ、既存の文脈に“エレクトロ･ポップ”の手法や音色を導入し、新しいスタイルを確立しようとする動きは広く見られます。ここではその代表例として、HIPHOPにおける“ロボ声ラップ”の隆盛と、エモ/ポップパンクにおける“エモトロニカ”を簡単に。

昨年後半から、HIPHOPの世界でもAutotuneを使うのがちょっとしたブームになってます。その代表的存在がT-Pain。

T-Pain - I'm Sprung

T-Pain Feat. Young Joc - Buy U A Drink

一部では「Vocoder使い」とされてるようですが、彼はAutotuneを使ってわざとVocoderっぽくなるような処理をしてるだけみたいです。この人はソロでももちろん活躍してるんですが、客演の数がハンパないです。07年後半から08年前半のヒット曲の半分くらいには顔を出してる状態。

Kanye West ft T-Pain - Good Life

Chris Brown featuring T-Pain - Kiss Kiss

Flo-Rida Feat T Pain - Low

で、この流れを受けてなのか単に“地”が出ただけなのかは分かりませんが、“ウェッサイHIPHOPのドン”であり独自のギャングスタスタイルを貫いてきたSnoop Doggも最新作でこんなことになってます。

Snoop Dogg - Sensual Seduction

ちなみに一年くらい前にPharrellとやった時はこんな感じ。

Snoop Dogg - Drop It Like It's Hot

ファンじゃなくてもこの変わり様にはビビリますよねw

ちなみにこの系統の最新型がこれ。

Lil Wayne ft Static - Lollipop

当然の如く全米NO.1です。

ロック方面に目を向けると、昨年から(いや、正確には一昨年からかな？)、エモ/ポップパンクで括られるバンドの中から、DaftPunkなんかの影響を受けたと思しき連中が出始めています。

hellogoodbye - Here In Your Arms

Rediscover - Baby's Got Her Gun Out

Cobra Starship - The City Is At War

ついにバンドサウンドを手放してしまう輩まで。

The Secret Handshake - Summer of 98

The Secret Handshake - Gamegirl

ここまでくるとフランス発と言われても違和感ないです。「エモ+エレクトロニカ」で“エモトロニカ”なんて造語も生まれてるみたい。

※アメリカでは“電子音響”という意味での「エレクトロニカ」ではなく、“テクノっぽい音楽の総称”として「エレクトロニカ」という言葉を使うケースがあります。多分ケミカルとかプロディジーとかが流行ったときの名残り。

現在絶賛大ブレイク中なのはこの人達。

Metro Station - Shake It

確かにガキ臭いし音も安っぽいんですけど、この辺の人達(もちろんこれ以外のエモ含む)には大好きだったナード系パワーポップ(WeezerとかFOWとか)の隔世遺伝子が埋もれている気がしてどうしても嫌いになれません。実際、彼等のひとつ前の世代ってWeezerの影響を受けたバンドが物凄く多いんです。Weezerもスランプから脱出したみたいですし、アメリカにおけるギターポップ〜パワーポップ〜ポップパンク〜エモまでの流れを一回ちゃんとまとめたいなぁ、なんて思います。暇があれば。

で、『もっとバキバキのエレクトロっぽいのはアメリカにはないの？』なんて思ってる人には『IHEARTCOMIX』っていうインディレーベルがオススメ。

http://www.myspace.com/iheartcomixrecords

地元シーンのエレクトロはもちろん、オーストラリアやフランスなどから面白いエレクトロ系のアーティストを拾ってきては本国に逆輸入したりUKに上陸させたりしてるレーベルです。

Heartsrevolution - C.Y.O.A