『売春の合法化』の前に『女性の雇用問題』を真剣に考えるべきじゃないかな。

まず前提として。

僕は彼女の本心にはあまり興味はありませんし、梯子の人が事実を書いているかどうかはわかりませんが、彼女と同じ境遇にいる女性が少なくない、ということを踏まえた上で、ネタとしてではなく真面目に考えてみます。

ちなみに、風俗で働く女性に関する僕の立場は、『他人の職業にわざわざ貴賎をつける愚かな人々』という過去のエントリ(言及先のリンク切れちゃってますが)に書いてある通りです。


「風俗嬢に説教たれる人々が痛い理由」と「売春を合法化し、厚生労働省売春管理局を作る案」 - 分裂勘違い君劇場 by ふろむだ
404 Blog Not Found:仮説 - 「売女」や「土方」が蔑まされる理由


セックス・ワークを巡る問題は確かに重要ですし、合法化によって解決する部分も多々あるでしょうからそれそのものを議論することには特に文句はないんですが、ただ、この問題の本質はそこじゃないと思うんですよね。

彼女が風俗で働くまでの流れをきちんと追えば、これがごく一般的な『労働問題』だってことが分かるはずです。

彼女がどのような選択をしたかは分かりませんが、彼女が手にした仕事は時給700円のパート事務でしかなかったわけで、その仕事では目的が達成できないどころか、将来の展望もなく、日々の生活すら厳しい状態だったわけですよね?

そりゃ時給700円のパートでいつ首切られるか分からない状況にいるよりは、風俗でもなんでもやって稼げるうちに稼いでしまえ、という思考が働くのは不思議ではありません。というか至極真っ当な判断だと思います。

でも、これって積極的な選択というよりは、環境・状況に追い込まれた結果ですよね?んでもって、これって彼女に限らずどのような女性でも抱える普遍的な問題だと思うんですよね。

確かに若年男性の非正規雇用が増加して問題となっていますが、女性の雇用を巡る環境が改善されたわけではなく(多少の進歩はありますが)、未だに様々な形で限定されていることは言うまでもありません。低賃金で社会保障もままならないまま単純労働を強いられるパート労働や女性が管理職になりづらい企業体質もそうでしょうし、家事や育児といった家庭での労働に対する国・企業の無理解や支援サービスの不足など、女性の就労や安定雇用を阻む要因は山ほどあります。シングル・マザーへの支援はおざなりなままですし、セクハラ・パワハラ被害もなくなってはいません。

梯子の人が実際にどうだったかはさておき、風俗で働くようになった女性の中には、このような状況に“追い落とされた”人も少なくないわけです。

そして、この構造の背景には、『労働者としての女性』あるいは『女性そのもの』に対する蔑視の感情があることは明らかです。問題の本質はまさにこの部分にこそあるのだと思います。

その構造を放置したまま、しかし結果“追い落とされる先”の『性風俗』という職業にだけ公的なお墨付きを与えるというのであれば、それは『国家による性奴隷の生産』としか呼ぶことのできない、とてもグロテスクな代物になります。

『売春の合法化』の前提として『職業選択の自由』は絶対に保障されるべき要素であり、そしてそれを阻害しているのはこれまで『男性』を主体として考えられてきた旧来の雇用制度と社会的倫理観・価値観であることは明らかです。『売春の合法化』を志向する以前に、まずはその意識・構造こそを問い直すべきではないでしょうか。

『風俗嬢に説教たれる倫理観』も『女性の職業選択の自由を阻害する構造』もその根源は全く同じものです。その構造を放置したまま「売春の合法化のメリット」とか「売春学校」なんてものを語るのは、“その矛盾と負債をすべて風俗嬢に押しつけてごまかす”とても卑怯な態度のように映ります。

もしそれに無自覚なのだとしたら、『風俗嬢に説教たれる人々』以上に痛いと僕は思うんですけどね。


ということで、

2008年09月29日 elastica 高利の借金返してリセットしたいだけの女とか、可処分時間が必要なシングルマザーとか。すぐ働けないけどどーすんの?死ぬの?//おっさんらは結局、風俗嬢を玩具にすることで勃起する変態。思考的な意味で。

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というid:elasticaさんの批判に同意致します。